蓄電池はどうなの?太陽光発電との相性を解説!
■蓄電池の相談が増えている
太陽光発電の取り扱いをしていると、オール電化や蓄電池システムのご相談が増えてきています。それは住宅用の太陽光発電の補助金がなくなった為、補助金が出ている蓄電池システムを検討されている方が増えてきているから!
そしていつもご相談時にお伝えすることがあります。
■蓄電池はもうからない
これは、ご相談時にお伝えしておりますが語弊があるかもしれません。
もちろん電気代は下がりますが、太陽光発電のように蓄電池システムは、金銭メリットが蓄電池の初期投資金額を上回ることは起こらないです。
蓄電池の価格(月々)>蓄電池の金銭メリット
それでも、今蓄電池システムの導入が右肩上がりで増えてきておりますが、それはなんでなんでしょうか?
■今の蓄電池の主流はダブル発電にならないもの
・初期の蓄電池システムはコンパクトで移動型
出始めの蓄電池システムはコンセントに繋いで蓄電する、コンパクトで移動が出来るものが主流でした。誰でも気軽に持ち運びができ、コンセントに繋ぐと蓄電し、その蓄電池本体に家電製品のコンセントを繋ぐと使用できるタイプ。容量は1kWh~2kWhのものです。
ただ、移動型蓄電池だとあくまで蓄電池本体についているコンセントを差した家電製品だけが使用できるというものです。家の照明やコンセントに電気を送ることはできません。
・中期の蓄電池は定置のダブル発電型
定置のダブル発電は非常時に家の照明などの電気を使用できたり、分電盤に繋いで普段の電気も使用できるものが出てきました。
ただ分電盤に繋ぐことによって、太陽光発電システムが発電している時も蓄電池に蓄電しておいた電気を使いますので、太陽光発電システムが発電した電気が使われず、余る電気が増えるため多く売電してしまうことになります。そうなるとダブル発電とみなされ、売電単価が減額されてしまいます。
・現在の蓄電池は定置のシングル発電型
定置のシングル発電型の蓄電池は、大型で分電盤に繋いでもダブル発電にならないので売電単価が減額されず、太陽光発電との連系もできます。
■ダブル発電とは
「ダブル発電」又は「押し上げ効果あり」とも呼ばれています。
こちらが太陽光発電と蓄電池の1日の電力使用状況のイメージ図になります。
①ナイトタイム(23時~8時)
電力会社の電気を家庭で使い、蓄電池に夜間の割安な電気を蓄える。
②ファミリータイム(8時~10時、17時から23時)
電力会社の電気を家庭内で使う。
③デイタイム(10時から17時)
蓄電池に蓄えた電気を優先的に使用し、太陽光発電の売電量が増える
ダブル発電のメリットは買取価格は安くなりますが、売電量が増えますので、日中電気を使うご家庭や太陽光発電のシステム容量が少ない方にお勧めです。
・太陽光発電の売電制度(売電価格・売電期間)
平成29年度(2017年4月~2018年3月)に電力会社と売電契約を行った場合
区分 | 地域 | 売電価格 | 売電期間 | 売電方式 | |
10KW未満 | 出力制御対応機器 設置義務なし | 東京電力・中部電力・関西電力管内 | 28円/kWh | 10年間 | 余剰売電 |
出力制御対応機器 設置義務あり | 上記以外の大手電力会社管内 | 30円/kWh | |||
10KW未満 (ダブル発電) | 出力制御対応機器 設置義務なし | 東京電力・中部電力・関西電力管内 | 25円/kWh | 10年間 | 余剰売電 |
出力制御対応機器 設置義務あり | 上記以外の大手電力会社管内 | 27円/kWh | |||
10KW以上 | 全ての地域 | 21円/kWh+消費税 | 20年間 | 全量売電 もしくは 余剰売電 |
■太陽光と蓄電池が相性の良い理由
今蓄電池システムの問い合わせや導入される方が増えてきています。
それは太陽光発電との相性がいいからです。
その理由は、太陽光発電のデメリットを補ってくれるからです。太陽光発電は太陽が出ている時間帯しか発電しません。なので、お昼間の電気は安くなり、余った電気は売ることが出来ます。しかし雨の日や夕方以降の発電が弱まってきたときは、電力会社から高い電気を買わないといけません。ところが蓄電池システムは、割安の深夜電力を蓄電池システムに蓄電し、発電量が消費電力より低い場合は蓄電池システムが蓄電した安い電気を放電いたします。こちらがイメージ図になります。
■蓄電池だけの導入とセット導入した場合の費用回収年数の比較
・蓄電池のみを導入した場合の費用回収年数
蓄電池のみの導入は、どれくらいの金銭メリットがあるのか計算してみます。
【条件】
・蓄電池容量:7.2kWh
・使用可能容量:5.76kWh
・充放電効率:94%
・メーカー:京セラ
・深夜の買電単価:10円
・日中の買電単価:32円
(※中国電力の料金プラン「ファミリープランⅡ」をもとに算出)
蓄電池システムの金銭メリットは、日中に買電単価と深夜の買電単価の差額になります。
日中払うはずだった電気代 - 蓄電時に払った電気代 = 年間電気代削減 |
63,072円 - 19,710円 = 43,362円 |
平成27年度は、京セラの蓄電池7.2kWhが148万円の金額でして、補助金が53万円出ていました。自己負担額は約95万円になる計算です。
自己負担額95万円÷削減金額43,362円=費用回収年数約21年になるわけです。
ですから「蓄電池は儲からない」と冒頭でお伝えしました。
・蓄電池と太陽光発電システムをセットで導入した場合の費用回収年数
次に蓄電池と太陽光発電システムをセットで導入した場合は、どれくらいの金銭メリットがあるのか計算してみます。ここではセット率の高いメーカー「シャープ」で計算してみます。
・メーカー:シャープ
・蓄電池容量:4.2kWh
・太陽光発電の設置容量:5.5kW
・月の電気代:12,000円
・日中の電気使用割合:30%
・深夜の買電単価:10円
・日中の買電単価:32円
・太陽光発電175万円
太陽光発電のみの費用回収年数は約9年になります。
費用回収年数が固定買取制度10年を下回り9年と、とても金銭メリットがあると言えます。
ここに蓄電池システムを同時設置するとシャープの場合はハイブリッドパワコンが使用可能になりますので太陽光発電+蓄電池システムの金額が270万になります。
太陽光発電+蓄電池システムを同時に設置しましたら、費用回収年数は12.4年になるわけです。
お分かりかもしれませんが、この差を見て太陽光発電だけでも費用回収年数は早いですが、蓄電池システムを同時に導入しても、それほど年数が変わらないのです。しかも固定買取制度10年を超えても、余った電気を蓄電地システムに蓄電し、お家で使用できるので先の事も考え安心して電気が使えます。
これが最近にって蓄電池システムが売れている理由です。
一次蓄電池ブームで主流でした、ダブル発電タイプですと費用回収年数は15年を超えてしまいます。
これから太陽光発電の導入をお考えされている方は、一度蓄電池システムの同時設置の見積もりを取ってみるのも良いでしょう。
蓄電池システムの耐用年数はシャープであれば約30年ですので、長年にわたって利用できすることが出来ます。
■蓄電池のメリット・デメリット
蓄電池のメリット・デメリットを知っておくと良いでしょう。
・蓄電池のメリット
①太陽光発電と連携し効率アップ
太陽光発電と蓄電池は相性がとてもいいです。ご家庭の住環境やライフスタイルに合わせて「太陽光の売電量をアップ」または「太陽光発電が発電していないときに蓄電池にためた割安な電気を使う」ことができます。
②災害時や停電時でも安心
災害時などで停電になったら、非常用電源として安心して電気を使うことができます。
③太陽光発電のパワコンのリプレースとともに蓄電池の導入がベスト
パワコンの寿命や保証切れと共に取り替えるならハイブリッドパワコンと蓄電池がお得。
また、パワコン一体型蓄電池も省スペースで効率アップ。
・蓄電池のデメリット
①容量によって蓄えたり、使える電気の量が違う
各メーカーによって蓄電容量が異なり、うまく活用できないケースもあります。
しっかりと住環境やライフスタイルに合わせて選びましょう。
②寿命
蓄電池には寿命があります。各メーカーによって異なりますので、良い製品を選びましょう。
③設置スペースが必要
蓄電池を設置する際は、スペースの確保が必要です。製品の寸法を確認し、また直射日光が当たらない場所で風通しの良い場所を選びましょう。
■平成30年度に蓄電池の補助金はでるの?
多数のお問い合わせがありましたが、平成29年度の家庭用蓄電池の補助金は出ませんでした。
では平成30年度はどうなのか。
結論から言いますと蓄電池単体の導入の場合は出ない確率が高いです。補助金の予算は組まれていましたが、「ZEH化等による住宅における低炭素化促進事業」の方に組み込まれそうです。
○主なスマートハウス関連補助金【2018年度予算案より】
事業名称 | 事業概要 | 要求額 |
ZEH化等による住宅における低炭素化促進事業(環境省・経産省・一部国交省連携) | 1.ZEH化による住宅における低酸素化社会促進
①ZEHの交付要件を満たす住宅を新築・改修する者。 ②ZEH要件を満たす住宅に、低炭素化に質する素材(CLT、CNF等)を一定量以上使用し、または先進的な再エネ熱利用技術を活用した戸建住宅を建築。 ③分譲集合住宅及び賃貸集合住宅(一定規模以下)のZEH相当となるものを新築、又は同基準を達するよう既築住宅を改修する場合。蓄電池の導入補助も用意。 実施期間:①は平成31年度まで、②・③は平成34年度まで実施。 補助率等:①・③70万円/戸、②90万円/戸、蓄電池3万円/kWh(上限30万円)別途補助 2.高性能建材による住宅の断熱リフォーム ①既存戸建住宅及び、②既存集合住宅について、高性能建材導入に係る経費(設計費、設備費、工事費、諸経費)の一部を補助。 住宅太陽光発電設備が設置されており、①の事業に加え、一定の要件を満たす家庭用蓄電池、又は蓄熱設備を設置する者に設備費と工事費の一部を補助。 実施期間:平成31年度まで 補助率等:①1/3(上限120万円/戸)、②1/3(上限15万円/戸)蓄電池設備費(3万円/kWh上限1/3)、工事費(上限5万円/台)別途補助蓄熱設備 設備費・工事費合わせて(上限5万円/台)別途補助 |
85億円 |
■自治体からの蓄電池システムの補助金はでるの?
平成29年度は、各都道府県や市区町村で補助金が設定されていますので、検討中の方は各自治体にご確認いただくか、ひだかや株式会社にお問い合わせください。
■自治体からの蓄電池の補助金は太陽光が必須?
補助金の支給条件は、都道府県や市区町村によって違います。
例えば岡山県岡山市や倉敷市では、蓄電池単体の導入でも補助が受けられます。
補助金額【岡山市】
蓄電池:補助対象経費の1/3(上限15万円)
HEMS:補助対象経費の1/3(上限10万円)
要するに満額が25万円となります。
補助金額【倉敷市】
蓄電池:補助対象購入金額の1/10(上限10万)
要するに満額が10万円となります。
このように市区町村によって金額や蓄電池システムに関わる商品に対しても
補助金がでますので、把握する必要があります。
【対象者】
・住宅に導入すること
・未使用であること
・市税を完納していること
■蓄電池のラインナップ
メーカー | シャープ | 京セラ | パナソニック | スマートスター | オムロン | NEC | 東芝 | フォーアールエナジー |
商品 | ||||||||
容量 | 4.2kWh | 12kWh | 5.6kWh | 9.8kWh | 6.5kWh | 7.8kWh | 7.4kWh | 12kWh |
定格出力 | 2.0kW | 3.0kW | 2.0kW | 3.0kW | 1.5kW | 3.0kW | 3.0kW | 3.0kW |
寸法(W×H×D) | W500mm
H605mm D360mm |
W1060
H1250 D300 |
W480
D610 H230 |
W761
H1145 D440 |
W452
H656 D120 |
W980
H1150 D300 |
W780
H1025 D300 |
W1100
H1150 D310 |
重量 | 77kg | 226kg | 68kg | 195kg | 52kg | 150kg | 142kg | 280Kg |
発電モード | シングル発電 | シングル発電・ダブル発電 | シングル発電 | シングル発電・ダブル発電 | シングル発電 | シングル発電・ダブル発電 | シングル発電・ダブル発電 | ダブル発電 |
機器保証 | 10年間 | 10年間 | ユニット10年、パワーステーション15年 | 10年間 | 10年間 | 10年間 | 10年間 | バッテリー5年その他製品2年 |
出力保証 | 納品から10年充電可能容量が定格容量の60%未満 | なし | 納品から10年実質容量(5.4kWh)の60%未満 | 納品から10年充電可能容量が60%を下回った場合 | なし | 納品から15年、実質容量(6.62kWh)の50%未満 | 納品から10年定格容量の60%未満 | なし |
価格(メーカー希望価格) | 1800000円 | 3700000円 | 1830000円 | 2850000円 | オープン価格 | オープン価格 | 2970000円 | オープン価格 |
■蓄電池の導入時期はいつがベスト?
検討中の方は、補助金があるうちに購入されるのがベストです。国の補助金はないですが、地方自治体の補助金が出ているうちに導入されるので賢明でしょう。地方自治体の補助金は宣伝がございませんので、知らない方が多いです。ひだかや株式会社では、ご相談いただけましたら、各市区町村の補助金の案内もできますので、お気軽にご相談ください。
■まとめ
蓄電池システムは、今後必要な製品になってくるでしょう。なぜ、国が補助金までだして普及させたいのか。それは日本のエネルギー事情を考えた時に、太陽光発電システムをはじめとする再生可能エネルギーの普及の急務であり、今後、その相棒として蓄電池システムが普及してくることが予測されています。
高額な商品かもしれませんが、太陽光発電システムと連携することで、上手に電気代を削減でき、もしもの時の非常電源にもなり安心して生活がおくれるでしょう。